製麺とラーメンをメインに17年間やってきた「豚珍館」。製麺の方はラーメンの麺を主に製造、注文があればうどんの麺も作っていた。それが、町中のラーメン店をたたみ、餃子と製麺に絞っての商売を決めたのはつい最近のこと。餃子製造機の導入は平成19年10月。餃子に賭けるためには、必要な機械だった。
餃子はラーメン店でも出していたので、餃子づくりはベテラン。すべて手作りだった。1日に1500個作るためにかかる時間は約10時間。具の刻みから練るまでに3時間、包みに約7時間かかっていた。製麺の仕事もあり、朝の3時から仕込みを始めるというハードな仕事だ。不安もあったが手間がかかるため合理化、「体が自由になった」という。
機械を入れた時、お客さんからひだの取り方が違うと言われたが、「手で包んでいるから売り上げが伸びるというものでもない。結局は味と価格だ」という。ご主人は「普通のやり方で作っている」と言うが、素材や調味料などすべてを見直した。味はやはり、具で決まる。いろいろと有名店をまわって研究もした。甘味はキャベツで調節するが、季節や産地で異なるキャベツの甘味を量で加減するのは難しい。誰にでも愛されるオーソドックスながらおいしい味が受け入れられてファンも多く、遠方から求めて来るお客さんもいる。50個で1000円。24個で500円で販売している。1粒20gで20円とかなり安い。
他社製の機械も検討したが、一番小型で故障が少ないとの評判を聞いた。メンテナンスの面でも信頼できると判断した。「10分もあれば分解して洗うことができる」点も東亜の機械を選んだ理由だった。
機械を入れたとしても夫婦でやっているため、大量生産はできない。その日に売る分だけを作り、残すことはしない。これまでチラシなどの宣伝はしたことがないが、看板を2ケ所設置したせいもあって来客が増えている。